- 教育・学術・グローバル領域でのコミュニケーション機会創出
- Case
2023.10.23
過去最大の集客を実現 ~新時代における学会の価値とは~
主催者のビジョンを具現化し
学術会議を成功に導くまでの道のり
第27回日本看護管理学会学術集会「混沌を解く~看護は何のために存在するかを問う~」が2023年8月25日・26日に、東京国際フォーラムにて開催されました。新型コロナウイルス感染症が確認されてから3年余りが経過しましたが、未だコロナの爪痕が残る医療現場で患者のために精力的に奮闘してきた看護師たち自身を癒し、希望を与えることは、医療業界にとって喫緊の課題とも言えます。
今回の学術集会では、リアルなコミュニケーションを通じて質問や意見を"解く"場を再現させ、より深いコミュニケーションを促進するためのさまざまな企画を実施しました。
その結果、過去最大の参加者数である5,500人を記録しました。笑顔があふれ、大成功となった学術集会の舞台裏での工夫や想いを、第27回日本看護管理学会学術集会会長・別府千恵氏と企画・運営を手掛けた担当者が語ります。
― "混沌を解く"をテーマとした今回の学会ですが、テーマに込めた想いや、本番を迎えた時の心境をお聞かせください
別府氏:
2年前に開催テーマを決めた時は、新型コロナウイルスが猛威をふるい、世の中が不安定かつ複雑で、まさに「混沌」と言える状況であったため、キーワードを「混沌を解く」としました。最終的な答えを提示するのではなく、いろいろな引き出しの中で、多くの考え方をご提示し、"皆で混沌を解いていこう"という想いを込めて準備を進めました。一方で今回、全国からの参加者を迎えるためにアクセスの良い東京国際フォーラムを会場に予定していましたが、感染状況が完全に落ち着いていない中、集客に関する課題と不安がありました。 看護師のみなさんに時間を割いていただき、実際にご来場いただけるのか?全く予測出来ない状況での開催準備でした。
しかしそんな中でも、多くの医療関連企業の方々が学術集会の開催を様々な形で応援してくださったことがとても心強く、その気持ちが私たちの背中を押し、本日を迎えることができたと思っております。
― 集客面での課題は最近の様々な領域の学会においても同様の不安があると思います。今学会ではどのような取り組みを行ったのでしょうか。
別府氏:
集客が最大の課題でしたが、忙しい看護師のみなさんに会場に足を運んでもらえるか、ご来場いただいたみなさんに対してどのような価値を提供できるかを常に考えていました。その一環としてJCDのみなさんと共にスイーツセミナーという取り組みを実現しました。学会ではお弁当や軽食を用意する機会は多いのですが、今回は美味しいスイーツを用意して、ささやかではありますが日々の激務から少し離れ、癒しの時間を提供できればという想いからこの企画を立ち上げました。この取り組みが、参加者のみなさんにリフレッシュしていただけたことを願っています。
また、学術集会が、業界内だけのものとして終わるのではなく、社会の人々に貢献・応援できるものにもしていきたいという想いがあったので、セミナーで提供するスイーツは福祉施設での活動支援につながるものを選びました。
武政:
通常イベント会場にフードを持ち込む際には、様々な規則が存在し、会場が指定する手配先からしか調達できないケースもあります。しかし、我々は会場側に別府会長の想いや企画の趣旨を丁寧に説明し、交渉を重ねることで福祉施設にて心を込めて作られたスイーツを提供することができました。スイーツセミナーの事前申込は開始からわずか1時間で定員に達し、とても嬉しかったですね(笑)
武政:
また、社会貢献・応援の観点から、東京都看護協会に寄付を長年続けてくださっている写真家の方々がいらっしゃいます。 彼らは写真を通じて、医療従事者を応援するプロジェクト「A HUNDRED PHOTO EXHIBITION」を実施しています。そんな日々の応援に対する感謝の気持ちと、多くの参加者のみなさんにも我々を応援してくれる心強い存在のことを知ってもらいたく、会場内で写真展も開催しました。
― 集客に向けた取り組みとして、コングレスバッグがもらえるスタンプラリー企画が大盛況でしたね。
武政:
展示会場の企画については、別府会長のかねてからのご希望として伺っていましたので、さらに私なりの工夫を凝らし、スタンプラリーという形で実現させました。一般的に出展ブースは近づきにくい雰囲気がありがちなのですが、スタンプラリーを通して、気軽に出展者と参加者がコミュニケーションを取る事ができ、普段だったら素通りしてしまいがちなブースにも興味を持っていただくきっかけを作ることができたと思います。
別府氏:
コングレスバッグは毎回配ってはいるのですが、学会終了後にショッピングバッグとしても使えるものが少ないため、今回はデザインにこだわりたいなと思いました。そんな想いをくみ取ってもらい、海外のブランドにオーダーすることをご提案していただきました。ロゴを控えめにし、タグだけにすることで使い勝手を向上させ、結果的にコストを抑えられ、大変助かりました。さらに、5、6種類のデザインから、参加者が好きなものを選べるようにしました。そのバックの中に協賛企業からご提供いただいたサンプルをランダムに入れ、くじ引きのような参加者の興味を引く要素を加えたりと、みなさんに楽しんでいただける仕掛けをちりばめてもらいました。
杉本:
今回のコングレスバッグは、海外の企業からの輸入だったため、在庫確保や検品作業が大変だったものの、最終的にご来場のみなさんの喜ぶ顔を見ることができ、準備の苦労が報われました。
― 会場では、アプリやデジタルポスターなどITを活用した企画も好評でした。この取り組みはどのような目的があったのでしょうか。
別府氏:
学会アプリの導入は、効果が大いに感じられ、やってよかったと思いました。過去の学術集会では、辞典のような分厚い冊子を持って会場内を歩くというのがよくある姿でした。
重い荷物を持ったままページ数が多い冊子を広げ、そこから自分が見たい発表を求め、広い会場内を行ったり来たりするのは不便さがあったのですが、アプリを導入したことでそれらの問題が解消されました。もう紙のプログラムには戻れないと感じました。
杉本:
デジタルポスターについては、従来のポスターセッションでは大量の紙を必要としており、学会終了後には大量の紙が廃棄されるケースが多いです。しかし、今回はデジタルツールが一般的になり、受け入れられやすい社会環境も踏まえ、私自身も本学術集会でも今までやったことのないような新たなシステムを構築し、デジタルポスターを実現しました。これにより、快適さの向上だけでなく、環境への配慮やコスト削減にも大きく貢献できたと思っています。
― さまざまな工夫や努力をされていたことがわかりましたが、実際の参加者のみなさんからの反響はどのようなものだったのでしょうか。
別府氏:
これまでは4,900人が最高動員人数だったんです。また最近では看護領域の学会も増えてきていますので、集客面が最後まで不安でした。
ですが、さまざまな方面からの応援に支えられて、最終的には学会として過去最大参加者数となる5,500人を記録することができました。
決して予算が潤沢なわけではないため、集客面での不安もあり、JCDのみなさんにも心配や開催がうまくいくかプレッシャーをかけてしまったと思うのですが(笑)、開催が始まるギリギリまでいろいろな調整や手配をしてくださったので、ここまで辿り着けたと思っています。
もともと私は新し物好きなので、せっかく学術集会をやるのなら、今までとは違ったかたちで参加者の方々にも楽しんでいただきたいという気持ちが強かったのですが、今回JCDのみなさんにその想いを実現していただき、とても感謝しています。
― 会場も満員で、たくさんの笑顔で溢れていたのが印象的でした。
杉本:
2020年以降のコロナ禍により、オンラインでの学会開催が主流であった時代から学会の運営については現地だけでなくオンラインを活用したさまざまなコミュニケーションの機会が生まれました。JCDは国内外に関わらず、コンベンションの企画・準備から実施運営を手がけるプロフェッショナルチームです。首脳級・閣僚級会議、国際会議、学術会議など、当社がもつさまざまなネットワークやノウハウを駆使して会議の目的達成に貢献します。