- 訪日インバウンド促進
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2017.11.27
インバウンド事業での異業種連携の可能性
訪日外国人4,000万人を見据えた取り組み。いかにリピーター客を増やすのか。
2020年に向けて更に盛り上げりを見せるインバウンド市場だが、訪日外国人数が2,000万人を超える今、国や企業の抱える課題は増えてきている。その課題を解決するため、これからのインバウンド事業のあり方を、訪日インバウンドに深く関わる滝川が語る。
リピーター客を増やすには、「プロモーション」だけでは限界も
私がインバウンド事業に携わり始めたのは8年ほど前。その頃の訪日外国人数は約700万人で、「インバウンド」という言葉もまだ認知されていませんでした。それが現在では約3倍の約2000万人まで急増しています。これは2020年が決定したことや、外国人の爆買いが連日ニュースで取り上げられるようになったことで、日本中がインバウンドに着目するようになったからです。
そして、インバウンドが加速していく中で、さまざまな企業が「外国人観光客をどう取り込むか」を経営課題として取り上げるようになり、以前からインバウンド事業に関わってきた私たちにお声かけいただくようになりました。パリのように国際的な観光都市を目指すには、リピーター客が欠かせません。そのためには、プロモーション活動だけでは限界があり、持続的な取り組みが不可欠です。今では多くのクライアントから、プロモーションの域を超えたご依頼もいただいています。
異業種の3社が立ち上げた、『LUGGAGE-FREE TRAVEL』
2020年が決定した後、スポンサー企業同士が協同して、外国人旅行者向けに持続的な新事業を立ち上げようとする動きが始まりました。その中で、JTBグループ、パナソニック、ヤマトホールディングス(事業主体:JTB)が生み出したのが、『LUGGAGE-FREE TRAVEL』です。これは、訪日外国人旅行者の荷物をオンラインで簡単に、宿泊施設や空港に配送することで、手ぶらで観光を楽しんでもらうというサービスです。
訪日外国人旅行者が増えれば増えるほど、旅にまつわるトラブルも多くなります。たとえばコインロッカーが足りない、バスの乗り方がわからない、免税手続きに時間がかかるなど...。中でも急を要するのが「荷物」の課題でした。日本に到着する外国人旅行者の多くが、自身で大きな荷物を宿泊施設まで運んでいます。また、公共交通機関や宿泊施設にとっては、大型荷物を携えた外国人旅行者の移動や、手荷物の保管などが課題となっています。
そうした荷物の課題を解決できれば、外国人旅行者も観光現場のスタッフも負担が軽減されると考えました。『LUGGAGE-FREE TRAVEL』を導入することで、地域にとっては公共交通機関の混雑緩和、宿泊事業者にとっては一時預かり荷物の削減、外国人旅行者にとっては荷物の煩わしさから解放されるなどという効果が期待されます。また、一度ホテルなどに荷物を預けてから観光に行く人と、ホテルからそのまま観光に行く人では、観光時間に約2時間の差が出ることが調査からわかっています。観光時間が増えるということは、その分消費額も増えるということ。経済の活性化にもつながっていきます。
『LUGGAGE-FREE TRAVEL』は、日本全国を網羅する宅配便ネットワークをもつヤマトホールディングスが全国対応を可能にし、パナソニックがもつICTシステムにより効率的な申し込みが実現。そしてJTBグループの海外ネットワークを活かして利用者獲得や海外での認知拡大を行っています。まさに3社協同。それぞれが培ってきたノウハウや技術を掛け合わせることで、実現した新事業です。JTBコミュニケーションデザインでは、ブランディングとプロモーション含むマーケティング全般を担っています。外国人旅行者の目線にたった商標ロゴ、クリエイティブ、キャッチコピー、CM制作、webのGUI、ホームページのデザイン・制作、そして訪日外国人旅行者への多様な告知チャネルのアフィリエイト統括機能と、従来の受託型プロモーションを超えた新事業開発の領域にチャレンジしています。現在ゼロである外国人旅行者への認知度をどう上げいくのか、私たちの仕事はこれからが正念場です。
異業種のパートナーシップで解決するインバウンド課題
2020年には、4,000万人に到達すると予測される訪日外国人旅行者。これだけの外国人を迎えるにあたり、一つの企業だけでは解決できない問題も異業種とのパートナーシップで解決できることがあると思います。私たちは、JTBグループのインバウンド領域の牽引企業として、これからもさまざまな企業とのパートナーシップによるソリューション開発と提供を行っていきます。