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Z世代が旅に求める「令和的非日常」とは

JCD&伊藤忠ファッションシステム共同調査から読み解く、これからの旅行スタイル

コロナ禍を経て、人々のライフスタイルや価値観に大きな変化が生まれました。特に高校・大学時代がコロナのパンデミックと重なっていたZ世代は、その変化が顕著です。そこで JTBコミュニケーションデザイン(以下、JCD)では、Z世代の旅行スタイルを明らかにすることを目指し、総合コンサルティング企業である伊藤忠ファッションシステム(以下、ifs)と共同で、「Z世代の旅」に関する調査プロジェクトを立ち上げました。

この調査結果は「令和的非日常 Z世代における生活価値観・消費傾向から読み解くこれからの旅行スタイル」としてまとめられています。今回、本調査に携わったコーポレートソリューション部のプランナーである畑下と吉濱、そしてifsの小林脩人氏が、調査から見えてきたZ世代の旅の価値観や調査データのポイントについて語ります。

  1. コロナ禍を経てライフスタイルが大きく変化 Z世代にとっての旅とは「快放されるひととき」
  2. Z世代を調査することで令和の時代感を知る
  3. 調査データを活かしてプランニングに落とし込み より時流に合った広告コミュニケーションを提案

1 コロナ禍を経てライフスタイルが大きく変化
Z世代にとっての旅とは「快放されるひととき」

小林氏
ifsでは約30年にわたり生活者の研究をしており、その生活者知見をベースにクライアント企業のブランディングやプロモーションの支援を手掛けています。私たちは、ファッション=世の中の潮流が最も早い段階で現象化するものと捉えており、それは衣食住遊知の全てにかかわっていくものであるため、食や不動産などクライアントの業種は様々です。会社として実施している生活者研究は、一つの市場を深掘りするというよりも基本的な世代の価値観を広く扱うことが多いため、個人的にはもう少しマーケット別・世代別で深掘りした調査を行いたいという思いがありました。そこで、令和時代の旅の概念を明らかにしたいと思い、旅に関する深い知見を持つJCDさんと共同で調査を実施することにしました。

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畑下
JCDは旅や地域に関する知見が豊富ですが、「旅をする人」の心理をより深く掘り下げ、考察したいと思っていました。その中で、小林さんとのご縁をいただき、共同調査プロジェクトを立ち上げました。今回Z世代を旅の調査対象に選んだのは、彼らがコロナ禍の影響を最も大きく受けた世代だからです。Z世代は高校・大学時代をコロナ禍中で過ごし、多くの制限を受けました。友人との初めての海外旅行や卒業旅行などといった経験が難しかった世代です。そのような状況の中で、彼らの旅に対する期待や価値観がほかの世代とは異なるのではないかと感じていました。

また、Z世代は令和時代の消費を牽引していく存在でありながら、どのような考えを持っているか見えにくいという特徴もあります。コロナ禍を経て、人々のライフスタイルも大きく変化している中、その変化が最も顕著に現れているのがZ世代なのではないかと考え、Z世代のライフスタイルや旅行スタイルを明らかにするための調査を行うことにしました。

私たちは、Z世代が旅による非日常を求めている価値が失われてきているのではないかと考えていましたが、調査結果からは、旅行に対する感覚やイメージは世代に関わらず、「非日常を味わうもの」がトップスコアという結果になりました。下記の図表からも「旅=非日常」は世代を超えて求められている要素であることがわかります。

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出典:JCD×ifs共同調査

旅における非日常の定義は時代とともに変化してきています。昭和時代には「新しさ」がステータスであり、平成時代は「自分らしさ」が重視されましたが、令和時代は「快放されるひととき」が求められています。Z世代は旅を通じて日常からの心理的距離をとり、自分らしく過ごすことで精神的な豊かさを享受することを欲しているようです。

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出典:「令和的非日常 Z世代における生活価値観・消費傾向から読み解くこれからの旅行スタイル」 P10

吉濱
私自身がZ世代に属していますが、調査対象者のインタビューはとても共感することばかりでしたね。日常の中で自信を失くしたり、やらなければならないタスクに追われているときなど、Z世代にとっての旅はそれらから解放されるための選択肢になっているようです。特に、現代はデジタル化により他者といつでもどこでも繋っている状況ですから、その疲れから心理的に距離を置き、他者に気を遣うことなく自分らしくありたい、自分自身を取り戻すための「快放されるひととき」を得たいというニーズがあることがわかりました。

また、今年2月にifsさんが主催する「ifs未来フォーラム」において、Z世代の消費の兆しとマーケティングをテーマに、小林さんとのトークセッションを行ったのですが、多くの来場者にお集まりいただきZ世代の消費行動について関心の高さが伺えました。

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ifs主催「ifs未来フォーラム(2024年2月)」でのトークセッションの様子

2 Z世代の調査を通じて
令和の時代感を知る

畑下
Z世代の旅に対するニーズは「快放するひととき」を共通の要素として持っていますが、ライフスタイルの価値観や旅行に対する意識の違いにより、その旅行スタイルは多種多様です。そのため、今回のレポートではZ世代を一括りにせず、旅行者を複数のクラスターに分類し、それぞれの特徴やニーズを分析することで、Z 世代の多様な旅のニーズをより深く理解することができました。

小林氏
今回の調査で、私たちがイメージしていたZ世代とのギャップを認識でき、そのギャップを言語化することができました。調査前に抱いていたZ世代は、自分の世界観をはっきり持っている人が多いと思っていたのですが、実際には自分の世界観に強くこだわる人はそれほど多くなかったんですね。

世代の特徴はその時代の特性を反映します。特にZ世代はコロナ禍において消費の自己裁量権を得た世代であり、それまでの世代とは価値観や思考が異なってきています。Z世代を調査対象とすることで、令和の時代感というものも見えてきたのではないでしょうか。

吉濱
そうですね。Z世代のSNSの活用でも、写真映えを重視した「みんなからの羨ましい」から「自分自身の満足感」へと価値観が変化していることもわかりました。Z世代はデジタルネイティブであり、SNSの利用率は高いです。旅行に行った際には写真を撮ってSNSにアップする事で情報発信を行っている人も多いのですが、その内容が以前の世代とは変わってきているんです。Z世代にとって、SNSでの情報発信は自己表現ではなく、自分らしさに重点が置かれています。人から「いいね」をもらうためだったり、不特定多数から評価したりしてもらうための投稿というよりも、自分自身の満足度を高めるために利用しています。また、日常の記録のアーカイブとしてSNSを活用し、時間が経った後も見返せるようなアルバムとして使っている人が多いようです。自身を着飾るよりも、あくまで自然な等身大の自分を大切にしていることが見えてきました。

さらに、定性調査のインタビューでは、社会的な評価を気にしない人が多いと感じました。以前は「みんなが行っているから自分も」という流行りの観光地に行く人が多かったのですが、Z世代はそうではありません。物理的な距離は気にせずに、週末にちょっと雰囲気の良い都内のホテルで友人と過ごすといった、自分らしくいられる時間を大切にしている人が多いようです。

3 調査データを活かしてプランニングに落とし込み
より時流に合った広告コミュニケーションを提案

畑下
今回の調査で得られたZ世代に関するデータは、様々な企業様のコミュニケーション活動に有用なデータとなりました。これらのデータを企画書のエビデンスとして活用することはもちろん、プランナーとしては、これらの情報をどのようにクリエイティブな表現に落とし込むのか、どのようなメディアを使うのかという観点から調査結果を活用していきたいですね。例えば、今まで旅先で写真を撮る人は「映え」を意識している人が多く、「映え」文脈でのプロモーションが多く作られていました。ですが、Z世代は「映え」を意識して写真を撮影している人は少なく、自分の思い出のための撮影をしたり、SNSでの情報発信をしています。そうすると、当然クリエイティブの手法も、メディアの使い方も変わってくるはずなんですね。 私たちはプロモーション対象となるモノや地域とユーザーをいかにマッチングさせるかをベースにして、プランニングを行っています。調査結果に時流を掛け合わせていくことで、プロモーションにより深みを出すことができるんです。

吉濱
感覚として捉えている事象を、あえて調査することで「なぜその事象が起るのか?」という理由を明らかにすることができます。この「なぜ」が明確になれば、私たちプランナーは、今までの経験やノウハウに加えて、より時流に沿ったプロモーションを仕掛けていくことも可能になります。JCDでは、施設運営や大規模展示会のプロデュース、エンターテインメント領域など、多岐にわたる事業を展開しています。広告プロモーションのための調査であっても、調査結果をほかの事業領域に展開していくことができることはJCDの大きな強みですね。

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小林氏
人々のライフスタイルが変わりつつある今、企業にもその変化への対応を求められています。JCDさんは広告プロモーションだけではなく、従業員のモチベーションをどう高めていくかといった事業も展開されているので、企業の変革といった点でも、今後ますますその力が求められてくるのではないでしょうか。

畑下
私たちは、地域との繋がりや旅に関する知見が豊富であり、その専門性を活かしJCD単体でプロモーション設計から制作まで行えることも強みです。これは、ほかの広告代理店には難しいことだと思っています。また、個人的な意見ですが、JCDの社員は旅が好きで、旅を楽しんでほしい、地域を良くしたいといった想いが強い人が集まっています。その事がJCDの優位性になっていると感じています。今後も他社との連携を図ることで共創力を高め、調査や分析力を活かした提案を積極的に行なっていき、ターゲットのインサイトを掴んだプランニングを進めてまいります。

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